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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしにゃたッた一人の卿じゃ。卿に出世をさせて、丈夫な孫抱えて見たかばかいがわたしの楽しみじゃからの」

黙然と考え入りし武男はわずかに頭を上げつ。

「母さん、とにかく私も」電報を示しつつ「この通り出発が急になッて、明日はおそくも帰艦せにゃならんです。一月ぐらいすると帰って来ます。それまではどうかだれにも今夜の話は黙っていてください。どんな事があっても、私が帰って来るまでは、待っていてください」

*

あくる日武男はさらに母の保証をとり、さらに主治医を訪いて、ねんごろに浪子の上を託し、午後の汽車にて逗子におりつ。

汽車を下れば、日落ちて五日の月薄紫の空にかかりぬ。野川の橋を渡りて、一路の沙はほのぐらき松の林に入りつ。林をうがちて、桔槹の黒く夕空にそびゆるを望める時、思いがけなき爪音聞こゆ。「ああ琴をひいている……」と思えば心の臓をむしらるる心地して、武男はしばし門外に涙をぬぐいぬ。今日は常よりも快かりしとて、浪子は良人を待ちがてに絶えて久しき琴取り出でて奏でしなりき。

顔色の常ならぬをいぶかられて、武男はただ夜ふかししゆえとのみ言い紛らしつ。