Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
にならず。ただ父こそは、父こそは渾身愛に満ちたれど、その父中将すらもさすがに母の前をばかねらるる、それも思えば慈愛の一つなり。されば母の前では余儀なくしかりて、陰へ回れば言葉少なく情深くいたわる父の人知らぬ苦心、怜悧き浪子は十分に酌んで、ああうれしいかたじけない、どうぞ身を粉にしても父上のおためにと心に思いはあふるれど、気がつくほどにすれば、母は自分の領分に踏み込まれたるように気をわるくするがつらく、光をみて言寡に気もつかぬ体に控え目にしていれば、かえって意地わるのやれ鈍物のと思われ言わるるも情けなし。ある時はいささかの間違いより、流るるごとき長州弁に英国仕込みの論理法もて滔々と言いまくられ、おのれのみかは亡き母の上までもおぼろげならずあてこすられて、さすがにくやしくかんだ唇開かんとしては縁側にちらりと父の影見ゆるに口をつぐみ、あるいはまたあまり無理なる邪推されては「母さまもあんまりな」と窓かけの陰に泣いたることもありき。父ありというや。父はあり。愛する父はあり。さりながら家が世界の女の兒には、五人の父より一人の母なり。その母が、その母がこの通りでは、十年の間には癖もつくべく、艶も失すべし。