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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

九の一

「はッ?」

「いや、よろしい。承知しました。川島の御隠居にそういってください、浪は今日引き取るから、御安心なさい。――お使者御苦労じゃった」

使命を全うせしをよろこぶか、さすがに気の毒とわぶるにか、五つ六つ七八つ続けざまに小腰を屈めて、どぎまぎ立ち上がる山木を、主人中将は玄関まで送り出して、帰り入る書斎の戸をばはたと閉したり。

九の一

逗子の別荘にては、武男が出発後は、病める身の心細さやるせなく思うほどいよいよ長き日一日のさすがに暮らせば暮らされて、はや一月あまりたちたれば、麦刈り済みて山百合咲くころとなりぬ。過ぐる日の喀血に、一たびは気落ちしが、幸いにして医師の言えるがごとくそのあとに著しき衰弱もなく、先日函館よりの良人の書信にも帰来の近かるべきを知らせ来つれば、よし良人を驚かすほどにはいたらぬとも、喀血の前ほどにはなりおらではと、自ら気を励まし浪子は薬用に運動に細かに医師の戒めを守りて摂生しつつ、指を折りて良人の帰期を待ちぬ。さるにてもこの四五日、東京だよりのはたと絶え、番町の宅よりも、実家よりも、飯田町の伯母よりすらも、はがき一枚来ぬことの何となく気にかかり、今しも日ながの手すさびに山百合を生くとて下葉を剪みおれる浪子は、水さし持ちて入り来たりし姥のいくに