Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
その一瞥、その笑いの怪しく胸にひびきて、頭より水そそがれし心地せし浪子は、迎えの馬車に打ち乗りしあとまで、病のゆえならでさらに悪寒を覚えしなり。
伯母はもの言わず。浪子も黙しぬ。馬車の窓に輝きし夕日は落ちて、氷川町の邸に着けば、黄昏ほのかに栗の花の香を浮かべつ。門の内外には荷車釣り台など見えて、脇玄関にランプの火光さし、人の声す。物など運び入れしさまなり。浪子は何事のあるぞと思いつつ、伯母と看護婦にたすけられて馬車を下れば、玄関には婢にランプとらして片岡子爵夫人たたずみたり。
「おお、これは早く。――御苦労さまでございました」と夫人の目は浪子の面より加藤子爵夫人に走りつ。
「おかあさま、お変わりも……おとうさまは?」
「は、書斎に」
おりから「姉さまが来たよ姉さまが」と子供の声にぎやかに二人の幼弟妹走り出で来たりて、その母の「静かになさい」とたしなむるも顧みず、左右より浪子にすがりつ。駒子もつづいて出で来たりぬ。
「おお道ちゃん、毅一さん。どうだえ? ――ああ駒ちゃん」
道子はすがれる姉の袂を引き動かしつつ「あたしうれしいわ、姉さまはもうこれからいつまでも此家にいるのね。