Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
十二隻の艨艟一縦列をなして、午後五時大同江口を離れ、伸びつ縮みつ竜のごとく黄海の潮を巻いて進みぬ。やがて日は海に入りて、陰暦八月十七日の月東にさし上り、船は金波銀波をさざめかして月色のうちをはしる。
旗艦松島の士官次室にては、晩餐とく済みて、副直その他要務を帯びたるは久しき前に出で去りたれど、なお五六人の残れるありて、談まさに興に入れるなるべし。舷窓をば火光を漏らさじと閉ざしたれば、温気内にこもりて、さらぬだに血気盛りの顔はいよいよ紅に照れり。テーブルの上には珈琲碗四つ五つ、菓子皿はおおむねたいらげられて、ただカステーラの一片がいづれの少将軍に屠られんかと兢々として心細げに横たわるのみ。
「陸軍はもう平壌を陥したかもしれないね」と短小精悍とも言いつべき一少尉は頬杖つきたるまま一座を見回したり。「しかるにこっちはどうだ。実に不公平もまたはなはだしというべしじゃないか」
でっぷりと肥えし小主計は一隅より莞爾と笑いぬ。「どうせ幕が明くとすぐ済んでしまう演劇じゃないか。幕合の長いのもまた一興だよ」
「なんて悠長な事を言うから困るよ。北洋艦隊相手の盲捉戯ももうわが輩はあきあきだ。