Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
しかしてその神経の敏に感の鋭かりしほどその苦痛を感ずる事も早かりき。お豊も今その経験をしいられぬ。しかしてその無為にして化する底の性質は、散弾の飛ぶもほとんどいずこの家に煎る豆ぞと思い貌に過ぐるより、かの攻城砲は例よりもすみやかに持ち出されざるを得ざりしなり。
その心悠々として常に春がすみのたなびけるごとく、胸中に一点の物無うして人我の別定かならぬのみか、往々にして個人の輪郭消えて直ちに動植物と同化せんとし、春の夕べに庭などに立ちたらば、霊も体もそのまま霞のうちに融け去りてすくうも手にはたまらざるべきお豊も恋に自己を自覚し初めてより、にわかに苦労というものも解し初めぬ。眠き目こすりて起き出づるより、あれこれと追い使われ、その果ては小言大喝。もっとも陰口中傷は概して解かれぬままに鵜呑みとなれど、連べ放つ攻城砲のみはいかに超然たるお豊も当たりかねて、恋しき人の家ならずばとくにも逃げ出しつべく思えるなり。さりながら父の戒め、おりおり桜川町の宅に帰りて聞く母の訓はここと、けなげにもなお攻城砲の前に陣取りて、日また日を忍びて過ぎぬ。時にはたまり兼ねて思いぬ、恋はかくもつらきものよ、もはや二度とは人を恋わじと。