Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
彼は世渡りの道に裏と表の二条あるを見ぬきて、いかなる場合にも捷径をとりて進まんことを誓いぬ。されば叔父の陰によりて陸軍士官学校にありける間も、同窓の者は試験の、点数のと騒ぐ間に、千々岩は郷党の先輩にも出入り油断なく、いやしくも交わるに身の便宜になるべき者を選み、他の者どもが卒業証書握りてほっと息つく間に、早くも手づるつとうて陸軍の主脳なる参謀本部の囲い内に乗り込み、ほかの同窓生はあちこちの中隊付きとなりてそれ練兵やれ行軍と追いつかわるるに引きかえて、千々岩は参謀本部の階下に煙吹かして戯談の間に軍国の大事もあるいは耳に入るうらやましき地位に巣くいたり。
この上は結婚なり。猿猴のよく水に下るはつなげる手あるがため、人の立身するはよき縁あるがためと、早くも知れる彼は、戸籍吏ならねども、某男爵は某侯爵の婿、某学士兼高等官は某伯の婿、某富豪は某伯の子息の養父にて、某侯の子息の妻も某富豪の女と暗に指を折りつつ、早くもそこここと配れる眼は片岡陸軍中将の家に注ぎぬ。片岡中将としいえば、当時予備にこそおれ、驍名天下に隠れなく、畏きあたりの御覚えもいとめでたく、度量濶大にして、誠に国家の干城と言いつべき将軍なり。