Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
なおその上に、千々岩の姿をあるまじき相場の市に見たる者あり。とにかく種々嫌疑の雲は千々岩の上におおいかかりてあれば、この上とても千々岩には心して、かつ自ら戒飭するよう忠告せよと、参謀本部に長たる某将軍とは爾汝の間なる舅中将の話なりき。
「困った男だ」
かくひとりごちて、武男はまた千々岩の名刺を打ちながめぬ。しかも今の武男は長く不快に縛らるるあたわざるなり。何も直接にあいて問いただしたる上と、思い定めて、心はまた翻然として今の楽しきに返れる時、服をあらためし浪子は手ずから紅茶を入れてにこやかに入り来たりぬ。
「おお紅茶、これはありがたい」椅子を離れて火鉢のそばにあぐらかきつつ、
「母さんは?」
「今おやすみ遊ばしました」紅茶の熱きをすすめつつ、なお紅なる良人の面をながめ「あなた、お頭痛が遊ばすの? お酒なんぞ、召し上がれないのに、あんなに母がおしいするものですから」
「なあに――今日は実に愉快だったね、浪さん。阿舅のお話がおもしろいものだから、きらいな酒までつい過ごしてしまった。はははは、本当に浪さんはいいおとっさんをもっているね、浪さん」
浪子はにっこり、ちらと武男の顔をながめて