Japanische Klassiker mit Furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lesen Sie 山の人生 (やまのじんせい) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.022 Zeichen · 226 Bildschirme
抱いて下へ連れてきてよく見ると、口のまわりも真白に白餅だらけになっていた。(白餅というのは神に供える粢のことで、生の粉を水でかためただけのものである。)気の抜けたようになっているのを介抱して、いろいろとして尋ねてみると少年はその夕方に、いつのまにか御宮の杉の樹の下に往って立っていた。するとそこへ誰とも知らぬ者が遣ってきて彼を連れて行った。多勢の人にまじって木の梢を渡りあるきながら、処々方々の家をまわって、行く先々で白餅や汁粉などをたくさん御馳走になっていた。最後にはどこか知らぬ狭いところへ、突き込まれるようにして投げ込まれたと思ったが、それがわが家の天井であったという。それからややしばらくの間その少年は、気が疎くなっていたようだったと、同じ村の今三十五六の婦人が話をしたという(早川孝太郎君報)。
石川県金沢市の浅野町で明治十年ごろに起こった出来事である。徳田秋声君の家の隣家の二十歳ばかりの青年が、ちょうど徳田家の高窓の外にあった地境の大きな柿の樹の下に、下駄を脱ぎ棄てたままで行方不明になった。これも捜しあぐんでいると、不意に天井裏にどしんと物の堕ちた音がした。