Japanische Klassiker mit Furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Lesen Sie 式部小路 (しきぶこうじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.847 Zeichen · 149 Bildschirme
火の玉が焼を起して、伊豆の大島へころがり込んで行ったんですって。芝居ですると、鎮西八郎為朝が凧を上げて、身代りの鬼夜叉が館へ火をかけて、炎の中で立腹を切った処でさ。」
「ああああ、」と束ね髪が少し動いて頷く。
「月に一度、霊岸島から五十石積が出るッてますが、三十八里、荒海で恐ろしく揺れるんですってね。甲板へ潮を被ったら、海の中で、大概消えてしまいそうなもんですけれど、因果と火気の強い畜生で、消火半を打たせません。
しかも何です、珍しく幾干か残して来たんですぜ。
何しろ、大島なんですからね、婦女が不断着も紋付で、ずるずる引摺りそうな髪を一束ねの、天窓へ四斗俵をのせて、懐手で腰をきろうという処だッていいますぜ。
内地から醤油、味噌、麦、大豆なんか積んで、船の入る日にゃ、男も女も浪打際へ人垣の黒だかり。遥の空で雲が動くように、大浪の間に帆が一ツ横になって見える時分から、爪立つものやら、乗り出すものやら、やあ、人が見える、と手を拍いて嬉しがるッていう処でさ。
さすがに火の手を上げなかったもんですから、そら、ちっとばかし残ったでしょう。
処で、炎天を舞い戻ると、もう東京じゃ、誰も対手にしないことを知ってますから、一番自前で遣ろうというんで方々捜したそうですがね。