Japanische Klassiker mit Furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Lesen Sie 式部小路 (しきぶこうじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.847 Zeichen · 149 Bildschirme
おばさん、この人はね、馴染のない町内へ来ると、誰とでも喧嘩をするの、」
とはじめて座につき、火鉢の前に落着いた。お夏もこの時気がついて思わず袖で口を蔽い、
「まあ、」
とばかり、わずかに堪えて、
「ほほほ、愛吉、お前、その膝の上の蝙蝠傘をどうにかおしよ。」
「ややや」というと、慌てて落した、うっかり膝の上に、ト琴を抱いた姿だった、毛繻子の時代物を急いで掻い取り、ちょいと敷居の外へ出して、膝小僧を露出しに障子を閉めて圧えつけたは、余程とッちたものらしい。
女房は年紀の功、先刻から愛吉が、お夏に対する挙動を察して、非ず。この壮佼、強請でも、緡売でも。よしやその渾名のごとき、横に火焔車を押し出す天魔のおとしだねであろうとも、この家に取っては、竈の下を焚きつくべき、火吹竹に過ぎず、と知って、立処に心が融けると、放火も人殺もお茶うけにして退けかねない、言語道断の物語を聞く内にも、おぞ毛を震って、つまはじきをするよりも、むしろいうべからざる一種の憐さを感じて、稲妻のごとく、胸間にひらめき渡る同情の念を禁ずることを得なかった。自分の不思議が疑団氷解。さらりと胸がすくと、わざとではなかったが、何となく無愛想にあしらったのが、ここで大いに気の毒になったので。