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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

急所を突かれて、敬二郎は顔を顰めながら、まったく闘争力を失った。

「態ったらねえ! 馬鹿野郎め!」

正勝は怒鳴りながら、鞭を拾って悠々と露台を下りていった。

(酷いわ! 酷いわ! 正勝もあんまりだわ!)

紀久子はそう心の中に呟きながらも、しかしなにも言うことはできなかった。彼女は唇を噛みながら、憎悪の目をもってじっと正勝の後姿を見送った。そして、正勝の姿が物陰に消えてから、紀久子は急所の重苦しい痛みに悩んでいる敬二郎を静かに部屋の中へ労り入れた。

2

紀久子はいつまでも黙りつづけた。

(許してください。敬さん! わたしが悪いんです。許してください。わたしがあなただけを愛しているってことを、いまは言うことができないんです。許してください)

紀久子はそう心の中に呟きながら、黙りつづけていた。

窓の外は暗鬱な曇天がしだいに暗く灰色を帯びて、ストーブが真っ赤に焼けてきた。真っ赤なストーブを前にして、敬二郎も唇を噛み締めながら言葉を切った。重苦しい沈黙が物哀しい空気を孕んで、二人の間へ割り込んできた。

「ぼくは紀久ちゃんの本当の気持ちを知りたいのだ。ぼくは紀久ちゃんの愛を失うくらいなら……」