Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

青白い顔の男はただときどき、静かに頭を振るだけであった。そして、怪訝そうな目で周りの群衆を眺め回すだけであった。

「気が変になったにしても、なにかきっかけというものがあったろう?」

巡査は鼻を押さえて、仰向きになっている男の傍へ寄っていった。

「それはそうですが、やっぱり気が変らしいんですね。わたしはそこの店に坐っていて、よく見ていたんですが……」

こう言って、偽映鏡の前から焼栗屋の主人が巡査の前へ出ていった。

「どっちから来たのか、わたしの気がついたのはそこの鏡の前に立っているときなんですが、その時はちっとも変わった様子がなかったんです。それが……」

「この若者は毎朝出がけに、わたしのところで煙草を買っていくんですがね」

三、四軒先の煙草屋の主人が、こう横から口を入れた。

「前には、毎朝きっと二人で出かけていましたがね。同じ年齢ごろの、この若い者よりは背の高い眼鏡をかけた若い者と二人で。……それが、いつのころからか一人になったんですが、それでも毎朝きっとわたしのところで煙草を買っていくんですよ。……そうですね、一人になってから一か月以上にもなりますかな? きっと、わたしはこの先の鉄管工場へ行っているのに相違ないと思うんですがね。