Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「しかし、それにしても偽映鏡を見ているうちに気が変になるというのは、ちょっと不思議だがな。とにかく、じゃ、気をつけて連れていってくれ」
巡査はそう言って、そのままそこから群衆の中へ割り込んでいった。
「そいつは、二人組みの詐欺だろう」
群衆の中からそんな声が起こった。そして、群衆は潮騒のように崩れだした。
「吉本! 本当にしっかりしてくれ」
茶色の作業服はそう言って、吉本の手を引いて群衆の中へ入っていった。
2
鉄管工場の職工たちはひどく吉本に同情した。彼はその後も、幾度かその発作的症状に襲われつづけていたから。
しかし、彼の発作的症状はたいてい、すぐ回復してしまうのが常であった。
彼の発作的症状は夕立のように知人の間を騒がせて、その日一日は頭を振りふり意識を失ったもののようにしているのであるが、翌朝になるともう何事もなかったもののようにして、いつもと同じように工場へ出てくるのであった。
「吉本! あんな奴のことはもう忘れてしまえばいいじゃないか?」
こんな風に工場の人たちは言った。
「女のことででもあるなら、いつまでも忘れられねえってこともあるだろうが、ほかのことと違って、そんな裏切者のことをいつまでも思い切れずにいちゃ、運動なんかできないじゃないか?」