Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
同時にぼくのいちばんに憎んだ人もあなただったんです。しかし、偽映鏡というやつはおかしなやつだ。世の中のものをなんでも歪めて映しているんだ。あの偽映鏡め! そして、ぼくにとうとう病人になることを教えやがったんだ。いや! 病人の真似をすることを教えやがったんだ。あの偽映鏡め!」
吉本はそれだけを、叫ぶようにして言って、俯いてしまった。
「吉本さん! あなたはわたしを悲しませようと思って、永峯を殺したんですの?」
「あなたはぼくを愛しているんですか? 憎んでいるんですか?」
「わたし、お気の毒に思っているだけですわ。憎んでいて見舞いに上がるわけはありませんもの」
彼女はそんな風に言いながら、持ってきた菓子などを風呂敷包みの中から取り出した。
「ぼくがあの偽映鏡に、病人になることを教えられたばかりじゃないんだね。あの偽映鏡め、いろいろなことを知っていやがる。雅子さんは世の中を偽映鏡に譬えて考えたことはないんですか? 一度考えてごらんなさい。面白いから。……ぼくを病人だなんて……だれが……」
吉本は長く伸びた髭の中で冷ややかに、寂しそうにして微笑んだ。