Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
きっとまた、自分に隠れて会合へ出ていったのに相違はないと彼女は思った。なぜ妻にまで秘密にする必要があるのだろう? と思うと、彼女はなにかしら掻き毟りたいような気持ちになっていた。
彼女の不機嫌は翌朝まで続いた。彼女は赤ん坊が小便をしたといっては胯を抓った。乳の呑み方が悪いといっては平手で頭を撲った。それからすべての器物にも手荒く当たった。――翌朝になっても彼女の夫は帰ってこないからだった。
翌朝そこへ、工場からまた使いが来た。今度は少年工でなく、年寄りの雑役夫だった。
「お! こちらの松島さんはよ、昨夜、夜業をして怪我をしてな。うんで病院のほうへ行ったからよ、そのつもりで心配しねえでいてくれ」
「怪我をしたんですって? ひどく怪我をしたんですか?」
「おれは見なかったんでな、どの程度だかよく知らねえが、大したことじゃあるめえて。とにかくよ、心配しねえでてくれってことだから……」
「で、その病院って、どこの病院なんでしょうね?」
「さあ? おれには分かんねえがな。とにかくよ、心配しねえでてくれってことだから……」
雑役夫の親父はそれだけ言って、帰っていった。