Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
中には五円札が一枚、一円札二枚、それから銀貨や銅貨を取り混ぜて約八円ばかりの金が入っていた。が、その札はぐしゃぐしゃと何かに噛まれたに相違なく、ほとんど穴だらけになっていた。
そして一枚、同じように歯の跡のついた本屋の受取りが入っていたが、それには、
『吉川先生さま』
と書いてあった。
「あ、これは吉川先生の蟇口だ。堆肥を作るときもっとよく切り返していれば、あの時すぐ見つかったのに……道理で悪い堆肥だと思ったら、そんな乱暴な切り返しをしているから。……堆肥というやつは切るときに、こういうものが入っていてもすぐ見つかるくらいに切り返さなければいけないんだよ」
高津校長は生徒たちに言って聞かしたのだった。
「田中くん、だったかな、あの吉川先生の洋服、犬が咥えて落としたのを見つけて窓へかけてやったというのは? きみがあの時、ついでにこの蟇口を見つけてくれればなにも問題は起こらなかったのにな」
高津校長は寂しい微笑を浮かべて言った。
「とにかく、これを吉川先生のところへ持っていって、安心させてやらなければいけない。気にかけているんだろうからな」
こういって、高津校長はその晩、吉川先生を訪ねていった。