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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、紀久子は正勝の言葉を聞いてほっとした。

「何をするの? その綱で?」

「紀久ちゃんを酷い目に遭わせるようなことはしないから」

「どこかへ行くの?」

「そりゃあ行くさ」

「どこかへ行って、でも、困るといけないわ」

「困ったって……」

「お金を幾らか持っているの?」

「お金? そんなものねえよ」

正勝は初めて顔を上げて言った。彼の顔は凄いまでに青白かった。そして、その目は星のように顫えていた。

「紀久ちゃん! 紀久ちゃんは安心していていい。おれが何もかも引き受けるから」

「どこかへ行くんなら、本当に困るといけないわ」

紀久子はそう言いながら、洋服のポケットに捩じ込んでおいた幾枚かの紙幣を掴み出して、それを正勝の洋服のポケットに押し込んだ。

「金か? あははは……」

正勝は静かに、しかし不気味に微笑んだ。

「おれ、金なんかいらない」

彼はそう言ったが、しかし、それを掴み出して返そうとはしなかった。そして彼はただ、その長い綱を自分の身体に巻きつけるのだった。

「どこかへ行くんなら……」

紀久子は正勝を怪訝そうに見詰めながら言った。

「紀久ちゃん! おれ、紀久ちゃんを本当に想っているんだから、紀久ちゃんを困らせるようなことは決して言わねえから、安心していろ。