Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
正勝はすると、その死体を素早く引っ担いで闊葉樹の原生林の奥深く駆け込んでいった。
そして、彼はそこの熊笹藪の中に蔦代の死体を隠し、夜の迫るのをじっと待った。
3
紀久子は容易に眠れなかった。
彼女の耳の底には、正勝の、安心していろ! という言葉が耳鳴りのように付き纏っていた。そして目を閉じると、身体にぐるぐると綱を巻きつけている正勝の姿がその目の前にはっきりと見えるのだった。彼女は目が冴えて、どうしても眠ることができなかった。彼女の神経は銀針のように鋭敏になって、絹糸のように戦いているのだった。
いくつかの部屋を隔てて、遠くのほうから柱時計の一時を打つ音がした。
紀久子は無意識のうちに、ベッドの上に半身を起こした。彼女の心臓は恐ろしい激しさをもって動悸を打っていた。そして、遠くのほうで何かの足音が遠ざかっていくように、時計の音は微かに――しだいに微かに――微かに微かに、絹糸のように細くなりながら――消えていった。しかし、紀久子の動悸は容易に止まらなかった。いつまでもいつまでも、だくっだくっだくっ……どきどきどき……と、心臓が破れそうになりながら続いた。