Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
たまりかねて、二人はそばやに飛び込むと始めてつっぱった足を延した。そば屋の出前持の親切で、円タクを一台頼んでもらうと、二人は約束しておいた新宿の八百屋の二階へ越して行った。
自動車に乗っていると、全く生きる事に自信が持てなくなった。
ぺしゃんこに疲れ果てゝしまって、水がやけに飲みたかった。
「大丈夫よ! あんな家なんか出て来た方がいゝのよ。自分の意志通りに動けば私は後悔なんてしないよ。」
「元気を出して働くよ、あんたは一生懸命勉強するといゝわ……。」
私は目を伏せていると、サンサンと涙があふれて、たとえ俊ちゃんの言った事が、センチメンタルな少女らしい夢のようなことであっても今のたよりない身には、只わけもなく嬉しかった。
あゝ! 国へ帰ろう……お母さんの胸ん中へ走って帰ろう……自動車の窓から、朝の健康な青空を見た。走って行く屋根を見た。
鉄色にさびた街路樹の梢にしみじみ雀のつぶてを見た。
うらぶれて異土のかたゐとならふとも
故里は遠きにありて思ふもの……
かつてこんな詩を読んで感心した事があった。
十一月×日
愁々とした風が吹くようになった。
俊ちゃんは先の御亭主に連れられて樺太に帰ってしまった。