Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
「安さんがお前、電車にしかれて、あぶないちゅうが……。」
帰えると、母は寝床の中から叫んだ。
私は荷を脊負ったまゝ呆然としてしまった。
昼過ぎ、安さんの家の者が知らせに来たと母は書きつけた病院の紙をさがしていた。
夜芝の安さんの家へ行く。
若いお上さんが、眼を泣き腫らして、病院から帰えって来た。
少しばかり出来上っている品物をもらってお金を置いて帰える。
世の中は、よくもよくもこんなにひゞだらけになるものだ。昨日まで、元気にミシンのペタルを押していた安さん夫婦を思い出す。春だと云うのに、梅が咲いたと云うのに、私は電車の窓に凭れて、赤坂のお濠の灯をいつまでも眺めていた。
四月×日
父より長い音信来る。
長雨で、飢えにひとしい生活をしていると云う。花壺へ貯めていた十四円の金を、お母さんが皆送ってくれと云う。明日は明日だ。
安さんが死んでから、あんな軽便な猿股も出来なくなってしまった。
もう疲れきった私達は、何もかもがメンドくさくなってしまった。
「死んだ方がましだ。」
十参円九州へ送る。
「わし達ゃ三畳でよかけん、六畳ば誰ぞに貸さんかい。」
かしま、かしま、かしま、私はとても嬉しくなって、子供のように書き散らすと、鳴子坂の通りへ張りに出た。