Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

」

男は寝ぶそくな目をシパシパさせて、波止場へ降りて来た。

「体が元気だったら、又いつか会えるからね。」

船の中は露に濡れた野菜がうずたかく積んであった。

あゝ何か馬鹿になったような淋しさで、私は口笛を吹きながら、遠く走る島の港を見かえった。二人の黒点が消えると、静かなドックの上に、ガアン ガアンと鉄を打つ音がひゞいていた。

尾道についたら、半分東京へ送ってやろうかな、東京へかえったら、氷屋もいゝな、せめて暑い日盛りを義父さんが、ウロウロ商売をさがして歩かないように、此暮は楽に暮らしたいものだ。

私は体を延ばして、走る船の上から波に手をつけてみた。

手を押しやるようにして波が白くはじける、五本の指に藻がもつれた糸のようにからまって、しおしおとしている。

「こんどのストライキは、えれ短かゝったなあ――。」

「ほんまに、どっちも不景気だけんな。」

船員達が、ガラス窓を拭きながら、話している。

私はも一度、青い海の向うにポツンとした島を見た。

淫売婦と飯屋

十二月×日

さいはての駅に下り立ち

雪あかり

さびしき町にあゆみ入りにき

雪のシラシラ降っている夕方、私は此啄木の歌をふっと思い浮べながら、郷愁を感じた。