Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

夜の八時にはもう大戸を閉めてしまって、九人の番頭や小僧さん達が皆どこへひっこむのか、一人一人居なくなってしまう。

のりのよくきいた固い蒲団に、のびのびといたわるように両足をのばして、じっと天井を見ていると、自分がしみじみ、あわれにみすぼらしくなって来る。

お糸さんとお国さんの一緒の寝床に、高下駄のような感じの黒い箱枕がちんと二ツならんで、お糸さんの赤い胴抜きのした長襦袢が蒲団の上に投げ出されてあった。

私はまるで男のような気持ちで、その赤い長襦袢をいつまでもみていた。しまい湯をつかっている、二人の若い女は笑い声一つたてないで、ピチャピチャ湯音をたてゝいる。

あの白い生毛のたったお糸さんの美しい手にふれてみたい気がする、私はすっかり男になりきった気持で、赤い長襦袢を着たお糸さんを愛していた。

あゝ私が男だったら世界中の女を愛してやったろうに……沈黙った女は花のように匂いを遠くまで運んで来るものだ。

泪のにじんだ目をとじて、まぼしい灯に私は額をそむけた。

一月×日

朝の芋がゆにも馴れてしまった。

東京で吸う、赤い味噌汁はいゝな、里芋のコロコロしたのを薄く切って、小松菜と一緒にたいた味噌汁はいゝな。