Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
荒巻き鮭の一片一片を身をはがして食べるのも甘味い。
大根の切り口みたいなお天陽様ばかり見ていると、塩辛いおかずでもそえて、甘味しい茶漬けでも食べてみたいと、事務を取っている私の空想は、何もかも淡々しく子供っぽくなって来る。
雪の頃になると、いつも私は足指に霜やけが出来て困った。
夕方、荷箱をうんと積んである蔭で、私は人にかくれて思い切り足をかいた。赤く指がほてって、コロコロにふくれあがると、針でも突きさしてやりたい程切なくて仕様がなかった。
「ホウ……えらい霜やけやなあ。」
番頭の兼吉さんが驚いたように覗いていた。
「霜やけやったら、煙管でさすったら一番や。」
若い番頭さんは元気よくすぽんと煙草入れの筒を抜くと、何度もスパスパ吸っては火ぶくれたような赤い私の足指を煙管の頭でさすってくれた。
もうけ話ばかりしているこんな人達の間にもこんな真心がある。
二月×日
「お前は七赤金星で金は金でも、金屏風の金だから小綺麗な仕事をしなけりゃ駄目だよ。」
よく母がこんな事を云っていたが、こんなお上品な仕事はじきに退屈してしまう。
あきっぽくって、気が小さくて、じき人にまいってしまって、わけもなくなじめない私のさがの淋しさ……あゝ誰もいないところで、ワアッ! と叫びあがりたい程、焦々する。