Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
右へ行く路が、左へまちがったからって、馬鹿だねえと云う一言ですむではないか。
私は自分の淋しい影を見ていると、ふっと小学校時代に、自分の影を見ては空を見ると、その影が、空にもうつっているあの不思議な世界のあった頃を思い出して、高々とした空を私は見上げた。
悲しい涙が湧きあふれて、私は地べたへしゃがむと、カイロの水売りのような郷愁の唄をうたいたくなった。
あゝ全世界はお父さんとお母さんでいっぱいなんだ。お父さんとお母さんの愛情が、唯一のものであると云う事を、私は生活にかまけて忘れておりました。
前垂れを掛けたまゝ竹籔や、小川や洋館の横を通って、だらだらと丘を降りると、ポッポッ! ポッポッ! 蒸汽船のような音がする。
あゝ尾の道の海! 私は海近いような錯覚をおこして、子供のように丘をかけ降りた。
そこは交番の横の工場のモーターが唸っているきりで、がらんとした広っぱ。
三宿の停留場に、しばし私は電車に乗る人のように立っていたが、お腹がすいて、めがまいそうだった。
「貴女! 随分さっきから立っていらっしゃいますが、何か御心配ごとでもあるのではありませんか。