Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
欺されてしまって、私子供を孕んでしまったの。そいつの子供だってことは、ちゃんと分っているから云ってやったわ、そしたら、そいつの言い分がいゝじぁないの――旦那さんの子にしときなさい――だってさ、だから私口惜しくて、そんな奴の子供なんか生んじゃあ大変だと思って辛子を茶碗一杯といて呑んだわよホッホ……どこまで逃げたって追っかけて行って、人の前でツバを引っかけてやるつもりさ。」
「まあ……。」
「えらいね、あんたは……」
仲間らしい讃辞がしばしは止まなかった。
お計さんは飛び上って風呂水を何度も何度も、俊ちゃんの背に掛けてやった。
私は息づまるような切なさで聞いていた。
弱い私、弱い私……私はツバを引っかけてやるべき、裏切った男の頭をかぞえた。
お話にならない大馬鹿者は私だ! 人のいゝって云う事が何の気安めになろうか――。
十月×日
……ふと目を覚ますと、俊ちゃんはもう仕度をしていた。
「寝すぎたよ、早くしないと駄目だよ。」
湯殿に皆荷物を運ぶと、私はホッとした。
博多帯を音のしないように締めて、髪をつくろうと、私はそっと二人分の下駄を土間からもって来た。朝の七時だと云うのに、料理場は鼠がチロチロして、人のいゝ主人の鼾も平かだ。