Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
寧子のことを考えているかと思うと、彼の頭のうちには、戦時の攻城や籠城が考えられていた。
(――濠とは名ばかり、底は浅いし、十日も降らぬとすぐ底が見えてくる。戦時となれば、土俵の千も投げこめば、攻め口ができてしまう。城内の飲み水も乏しい。このお城の欠点は、水利の悪いことだな。攻めるによく守るには足りない……)
などと独り呟いていると、近づいた背の高い男は、藤吉郎の肩を打って、
「猿殿。今、出仕か」
「……やあ」
藤吉郎は、相手の顔を見あげながら、咄嗟に、先頃からの宿題について、一つの成案と確信を持った。
「これは、よいところで」
と、彼はいった。
偽らない言葉だった。
なぜならそれは前田犬千代だったからである。あれ以来、話す折もなかったところを、折よく、城外で出会ったのは、この問題の幸先がよい。
彼が、それについて、云い出さないうちに、犬千代から口を切った。
「猿殿。いつぞや、何か折入って、わしへ話があるとか、御城内でいわれたが、きょうは公務の途中でないゆえ、聞いてもよいが」
「さ、そのことで」
と、藤吉郎は見まわして、濠端の石の塵を払い、
「立話もならぬ。まあおかけ下さい」