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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは当分、帰れないらしいぞ」

同時に彼は、寧子ともしばしは別れと思って、折ふしの夏の月に、ひと目でもと、途中から会いたさが胸に増して来た。

思いたつと、彼は、矢もたてもない性だった。煩悩の子であった。

彼の心にも住む意馬心猿は、彼を、寧子の家のほうへ駆りたてていた。そして、世間によくある深窓の灯を窺う不良児と、何ら変らない恰好して、藤吉郎も、その家の垣の外をうろついていた。

弓之衆の組長屋なので、この界隈を通る者は、たいがい顔見知りの人たちである。彼は、往来の跫音にも心をおき、家の中の寧子の両親や家族から覚られることもひどく惧れた。

その臆病な、小心な態は、笑うべきものであった。もし藤吉郎自身でも、他人のそういう振舞いを見たら、軽蔑するにちがいなかった。けれど今の彼には、男の面目も、万一の外聞も、反省している遑がなかった。

「寧子は、どうしているか」

彼が求めているのは、つまるところそんな他愛ないことでしかなかった。垣根の隙間から、彼女の横顔と、この夕方の彼女の生活の端を、一目見れば、それで気はすむのであった。

「もう、湯浴みをして、化粧しているかな。