Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

捕えましたが、一時はえらい騒動でござりました」

「美濃の諜者が一と長屋に住んでいたのか」

「知らぬも不覚なことでござりました。敵国の人間が、御城下に一かたまりも巣を喰って、悠々と、美濃へ通じているのをば」

「ははは。お互いごとじゃ。――ごんぞ、下婢にいうて、行水の湯を沸かさせておいてくれ」

「そしてまた、お出かけでございましょうな」

「このところ、毎日閑役、一あるきして来ぬと、腹が減らぬ」

やがて薪の煙が、勝手から家の内を吹きながれた。湯浴みして、帷子にかえた藤吉郎は、草履をはいて、庭木戸から外へ歩みかけた。

そこへ、城のお使番の末の者が、訪れた。御用筥から召状を出して手渡すと直ぐ帰って行った。藤吉郎は、あわてて屋内へ戻り、急に衣服を改めて、林佐渡の私邸へ急いで行った。

先頃から待機していた御沙汰なるものを、彼は、家老の私邸で、林佐渡から直接に申しつかって戻って来た。

(――明朝の卯の頃までに、旅装を整え、御城下端れ、西の街道口、豪農道家清十郎宅まで参らるべし)

と、いう沙汰なのである。

それ以外は、

(行けば分る)

とだけで、何も聞かしてはくれなかった。

遠国へ、信長が微行で――その供のうちへ自分も――と、こう考えて来ると、多くを聞かなくても、彼にはほぼ主君の目的のあるところが分るような気がした。