Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「一万とは嘘であろう。織田家に一万の兵を動かす力はない。また、今までの合戦でも、そんな大兵を催した例はない」
龍興は、そんなことをいった。それは事実にちがいなかった。しかし、今度は、その織田家が一万の兵を集合して、現に、かくかくの配置と部将をそろえて来たに相違ないと、諜者の調べを表にして見せると、龍興は、初めて、
「すわ。あの向う見ずが、大博奕を打つ気で襲せおったぞ。……ど、どうするか、それを追い退けるには」
と、骨髄から恐怖して、重臣たちへ諮った。
そして、困った時の神恃みで、平常は好ましからぬ親爺どもとして、主君から敬遠している美濃の三人衆――安藤伊賀守、稲葉伊予守、氏家常陸介などへ、急使をやって、招けと命じた。
「仰せまでもなく、疾く使いは馳せてありますが、今もって、そのうちの誰一名、駈けつけて参りませぬ」
重臣の答えに、
「さらば、催促をやれ」
と、龍興自身が、筆を執って、それぞれへ早馬を飛ばせた。
それでも来ないのだ。三人衆のうち、ただの一名も、稲葉山城へ駈けつけて来る者がない。
「鵜沼の虎はどうした」
「彼奴は、前々より不審な仮病を称えて、ひき籠っておりますれば、当然、あてにはなりません」