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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

夏草日記

まだ片づけられないまま夜の露に横たわっている屍は、甲軍の者だけでも、一万余とかぞえられたのである。

夏草日記

死体の処理や分捕品の始末などの奉行をいいつかって、戦後の曠野を、あちこち、巡視していた前田又左衛門は、

「おういッ」

誰やら呼ぶ声に、ふと駒をとめて振向くと、金瓢の馬幟がすぐ眼にとまった。

筑前守秀吉の陣所だった。

「又左でないか」

「おう、筑前か」

「無断で通ることやある。寄りたまえ」

自身、柵の外へ出て来て、招き入れた。

もとより仮屋一つない。

きのうで、大戦の一段落はついたものの、今後のうごきは、まだ最高軍事会議でも一決を見ないのである。

(この機を逸せず、甲府まで攻め入るべし)

という家康側の主張に対し、

(いや戦い占った地の、後始末こそ肝要である)

という信長の説とが、双方にもっともなところがあって、まだ決定を見ないのであった。

粮米の空俵や、薪などが積んである雑然たる中に、又左衛門はどっかり腰をおろして、

「やれやれ。戦のない日は、疲れるものだ」

と、友を見て笑った。

秀吉は、直ちに、床几を運ばせ、又左衛門にすすめたが、用いないので、彼もまた、手頃な石に腰をおろした。