Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
と、謙信は、苦笑をもらした。その策にのるほど、彼は甘い大将ではない。
天正四年から五年の夏へかけて、謙信の兵馬は加賀、能登方面にうごいて、しきりと織田の境を脅かした。
救援軍は、近江から電馳して向った。柴田勝家を大将として、滝川、羽柴、丹羽、佐々、前田などの諸部隊が続々向った。
手取川、打越、安宅などいたる処の敵を追い、また敵の援護となる部落を焼きたてて、金津の先まで進出したときである。
「謙信の陣より、鬼小島弥太郎というもの、使者として、御陣地へ近づき参り、この一書を、織田どのの直覧に入れられよと、高らかに申し入れて、すぐ立ち去りましてござりますが」
と、その日、ひとりの旗本は、二重三重に陣幕を張りめぐらしてある本営の枢要部に、一通の書面を取次いで来た。
味方すら知らない者が多かったが――実はこの陣中には、信長もひそかに来ていたのである。
信長は、驚いた。どうして自分の在陣が、敵へ洩れていたろうかと。
「まさしく謙信の直筆にちがいないが」
自身、封をひらいた。
文面には、
――久しく御高名は伺っておるが、まだ拝姿のときなきを恨みと存じていたに、遠路お立ち越えはまたなき好機です。