Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「逃がすなッ」
三上淡路守というやはり毛利家の一将。駈け寄って来て、岸から槍を抛りつけた。大鯨を突いた銛のように、槍は真っ紅な水の中に立った。
彦右衛門が躍りこんで、鹿之介へ組みついた。新左衛門もつづいて飛びこむ。髪をつかみ、脚を引き、鹿之介を河原へねじ伏せて、ついにその首を掻き切った。――夥しい噴血は河原の小石のあいだを縦横に走って、阿部の川波は燃ゆるかのように揺れていた。
「おうッ、わが殿ッ」
「鹿之介様ッ」
同時に、哭くが如く、吠えるが如き声が岸の上に聞えた。従者の柴橋大力介と後藤彦九郎であった。
ふたりとも、主人の大事と見て、すぐ駈け寄って来たのであるが、元より毛利方としては、計画的に行ったことなので、それと一斉に云い合わすやいな、二人を鉄桶の内に取り囲んで、近づけもさせなかったのである。
「これまで!」
主人の最期を知ると、二人の従者も、それぞれ力の限り斬り死にして鹿之介のあとを追った。
大力介の首は、毛利方の渡辺又左衛門、転左衛門尉のふたりが挙げ、後藤彦九郎は、無数の敵の中に斬りさいなまれて絶命した。
かくて、鹿之介幸盛の生涯も、その壮志も、ここに終った。