Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

病軍師

秀吉はそこへ行って、

「なるほど。絶景絶景」

と、まず地の利を賞めた。

そしてまた、小姓たちへ、

「黒田官兵衛も、誘うて来い。この月を、見せぬは惜しい」

と、いって、彼の小屋へ使いを走らせた。

病軍師

巨きな松の根がたである。月見の莚には恰好な場所だ。

折敷には乾肴、鶴くびの一壺には冷酒。あれこれの贅はなくても陣中の小閑を楽しむには充分である。――まして皎々一輪の月は頭上にある。

秀吉を中に竹中半兵衛、黒田官兵衛、そう三人は、莚のうえに鼎坐していた。

「…………」

飽かず、月を見上げて。

秀吉は、尾張中村の芋畑を回想していた。半兵衛は初めて世の不思議を感じた菩提山の月を思い出していた。また官兵衛は反対に、この月も忽ち騒雲につつまれれば墨のようにもなる――明日を独り考えていた。

月はひとつだが、観るものの心々に観られていた。

「半兵衛どの……お寒いのではないかな」

ふと、黒田官兵衛が、そういって宥わったので、秀吉も急に案じられたものか、半兵衛の面へ眼をうつした。

「……いや、さほどでも」

静かに、そう笑って、半兵衛は顔を横に振って見せたが、その一瞬、気のせいか、彼の面は、月より白く見えた。