Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「さ。そのことだが」
秀吉は、膝をすすめ、
「安土の御評議では、一応、村重の不平をも聞いて見た上、極力、宥め諭そうということに相成ったが、その御処置はよいか悪いか。また、もし村重が飽くまで反逆を明らかにした場合はどういたすか。忌憚なく、そちの意見を聞かして欲しい。……実は、それもあって立ち寄ったのじゃ。半兵衛、おぬしはこのことについてどう思う」
と全局の対策を質した。
重治は、一言でそれへ答えた。
「よろしいでしょう。当意即妙の御処置です」
「では、安土から慰撫の使者が参れば、伊丹城は、事なく鎮まろうか」
「――いや、所詮」
重治は、静かに面を横に振りながら、確信をもって否定した。
「鎮まりません。ひとたび揚げた反旗を、そのまま捲いて、安土へ帰順いたすことなどは、決してないものと考えまする」
「さすれば、伊丹城へ使いを向けても、徒労というか」
「徒労には似ても、むだ事ではありません。臣下の非を諭し、まず仁をもって臨むは、御主君信長様の徳を世に知らしめるものといえます。またそのあいだは荒木殿とて、ひそかに苦悶もしましょう――迷いもしましょう。正義の信念もなく無理に引く矢は日の経つほど鈍るものです」