Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

――一濤一濤ぶつかってくるたびに、心許なく、船の力を疑い出すのは人情というものじゃ」

「そこです……」

と、官兵衛は思わず膝をつきすすめて、

「――ですから、いちど乗った以上は、その船を途中で降りてはいけません」

「どうしていけない? とてもこの激浪を渡り切れそうもない船だと見たら、難破せぬうち、たとえ一時の目をつぶっても、未然に船を捨てて、もとの陸地へさして泳ぎ帰らねば、生命のたすかる道はあるまい」

「浅ましい御思案。一時の荒天風浪におののいてすでに身を託しおる船を疑い、同船の人々を裏切って、ひとり慌てて海中へのがれたりなどする者こそ、得てして風浪のうちに溺れ死ぬものです。そして後から晴天となり、危なく見えた船は満々と帆をあげて、目的の彼方に行き着いた頃――ばかな男よと顧みられて、よい笑いぐさにされましょう」

「ははは。口ではおまえにかなわんよ。だが、事実というものは、おまえの雄弁以上雄弁であるぞ。初め、おまえのはなしでは、この中国など、信長が手をつければ、忽ち席巻してしまうようなことを申しておった。ところが、中国探題としてやって来た秀吉の手勢は、わずか五、六千。