Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「お身たちの、案じてくれるは欣しいが、勝頼とて、今日の大事はぞんじておる。――しかも早、今朝、御旗楯無を拝し、誓って起ったものを、いまさら思いとどまることはならぬ」
と、厳として云った。
御旗楯無!
そのことばを聞くと、両将とも手をつかえて、心にそれを拝した。
この二品は、武田家に伝わる軍神の神体であった。御旗というのは、八幡太郎義家の軍旗、また楯無というのは、家祖新羅三郎義光の鎧なのである。
どんなことでも、この宝器のまえに神盟したことは、違えないということが、代々武田家の鉄則であった。
勝頼が、その神誓の下に、起ったと云いきっては、もう二臣の諫言も、それを強いる余地はない。
――折から馬揃いで吹き鳴らす貝の音も、はや迫る時刻を告げていたので、ふたりはぜひなく君前を退った。
――が、なお。
君家の安危は、思い断つにも断たれなかった。
で、大炊の陣場を訪ねて、
「仔細は貴公から聞けとのお館の仰せであったが、いったい、いかなる秘策があって、かくは急に、御出兵と相成ったのか」
と、問い糺すと、跡部大炊介は、人を払って、得々とその内容を打ち明けた。
彼がいうところの機密な計とは、次のようなことであった。