Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「お小姓さん。逃げなされ」
「たまるものか、そのとらに取っ捕まっては」
騒いではいるが、相手は恐いし、救う術もなかった。
だが、虎之助は、顔いろもかえていなかった。
片手に抱えていた書物を、酒屋の内へ抛りこむと、
「やめないか」
と、口をへの字にむすんで、相手に念を押した。
「来いッたら来いッ!」
禿久が、遮二無二、腕を引っぱると、虎之助は身をねじって、空いている左の手で、脇差を抜いた。
「わッ、ちッ、ちくしょうッ」
刃ものを見ると、彼の熟柿のような顔も、一瞬に、さっと青ざめた。その筈である、どうやって斬ったものか、禿久の片腕が、ごろんと、下に落ちていた。
もちろん鮮血はほとばしっていた。酒気のあったせいか、それは夥しい血だった。虎之助の胸から袴へもかかって、見ていた者の眼をおおわしめた。
「や、やりゃあがったな」
禿久は猛然、むしゃ振りついてきた。脇差はすッ飛んだ。巨きな体躯と、小さい体が、たちまち上になり下になりして、土と血にまぶされた。
いかに猛勇な禿久も、腕の一本を失くしては、もう日頃の威力もなかった。それに出血はひどく、見るまに貧血して、ぐったりと、虎之助の下に組みしかれていた。