Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなた。――少しこの腕白を叱ってくだされ。今も今とて」

弥右衛門に呶鳴られると、彼の母は、そこから窓越しに、日吉のいけないことを、一息に訴えた。

すると、家の中の弥右衛門は、げらげら笑って、

「何のこった、納屋の中に抛りこんである俺の古刀を、日吉が、持ち出そうというだけか」

「そうなんです」

「戦の真似事でもする気なのだろう」

「それがいけないんです」

「男の子だ。弥右衛門の子だ。いけないことがあるものか。出してやれ、出してやれ」

「…………」

お奈加は、まあと、呆れ顔を窓へ向けたまま、恨めしそうに唇を噛んで、眼に涙を溜めていた。

(どうだ!)

日吉は、勝った気持を、高慢そうに眼にあらわした。――だが、ほんの瞬間だった。その眼は、母の青じろい頬をつたう涙を見るに及んで、すぐ萎んでしまった。

「おっ母、泣くのお止しよ。おらはもう、刀はいらないや。――姉えに水を汲んでやろうっと!」

迅っこい日吉は、すぐ土間口のほうへ駈けて行った。土間は広く、一方は炉部屋の上がり框、一方は台所だった。

十一歳ばかりの女の子が、猫背を立てて、火吹竹で泥竈の口をふいていた。

「姉え。水汲んでやろか」