Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
どうぞがまんして下さい。」
といいました。
するとおかあさんは驚いた様子もなく、
「いいえ、わたしには何もかも分かっていました。わたしはあきらめていますから、お前は早くうちへ帰って、体を大事にして働いて下さい。さあ、道に迷わないようにして早くお帰り。」
といいました。
お百姓はおかあさんにこういわれると、よけい気の毒になって、いつまでもぐずぐず帰りかねていましたが、おかあさんに催促されて、すごすごと帰って行きました。
道々捨ててある木の枝を頼りにして歩いて行きますと、長い山道にも少しも迷わずにうちまで帰りました。「なるほど、さっきおかあさんが枝を折って捨てて歩いたのは、わたしが一人で帰るとき、道に迷わないための用心であったか。」と今更おかあさんの情けがしみじみうれしく思われました。そんな風でいったん帰りは帰ったものの、縁先に座って、一人ぽつねんと山の上の月をながめていますと、もうじっとしていられないほど悲しくなって、涙がぼろぼろ止めどなくこぼれてきました。
「あの山の上で、今ごろおかあさんはどうしていらっしゃるだろう。」
こう思うともうお百姓はどうしてもこらえていられなくなりました。