Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme

Aozora Bunko

何しろ西も東も分からない原中の一軒家に一人ぼっちとり残されたのですから、心細さも心細いし、だんだん心配になってきました。何でも安達が原の黒塚には鬼が住んでいて人を取って食うそうだなどという、旅の間にふと小耳にはさんだうわさを急に思い出すと、体中の毛穴がぞっと一時に立つように思いました。そういえばこんな寂しい原中におばあさんが一人住んでいるというのもおかしいし、さっき出がけに、妙なことをいって度々念を押して行ったが、もしやこの家が鬼のすみかなのではないかしらん。いったい「見るな。」といった次の間には何があるのか知らん。こう思うと、こわさはこわいし、気にはなるし、だんだんじっとして辛抱していられなくなりました。それでもあれほど固く「見るな。」といわれたものを見ては、なおさらどんな災難があるかもしれません。

坊さんはしばらく見ようか、見まいか、立ったり座ったり迷っていましたが、おばあさんはやっぱり帰って来ないので、とうとう思いきって、そっと立って行って、次の間のふすまをあけました。

すると坊さんは驚いたの、驚かないのではありません。あけるといっしょに中からぷんと血なまぐさいにおいが立って、人間の死骸らしいものが天井まで高く積み重ねてありました。