Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme
六
」
また、かさかさと袂を探って、
「やあ、マッチは此処にもござった、ははは、」
と、も一ツ机の下から。
「それではお邪魔を、ちょっと、拝借。」
とこなたは敷居越に腰をかけて、此処からも空に連なる、海の色より、より濃な霞を吸った。
「真個に、結構な御堂ですな、佳い景色じゃありませんか。」
「や、もう大破でござって。おもりをいたす仏様に、こう申し上げては済まんでありますがな。ははは、私力にもおいそれとは参りませんので、行届かんがちでございますよ。」
六
「随分御参詣はありますか。」
先ず差当り言うことはこれであった。
出家は頷くようにして、机の前に座を斜めに整然と坐り、
「さようでございます。御繁昌と申したいでありますが、当節は余りござりません。以前は、荘厳美麗結構なものでありましたそうで。
貴下、今お通りになりましてございましょう。此処からも見えます。この山の裾へかけまして、ずッとあの菜種畠の辺、七堂伽藍建連なっておりましたそうで。書物にも見えますが、三浦郡の久能谷では、この岩殿寺が、土地の草分と申しまする。
坂東第二番の巡拝所、名高い霊場でございますが、唯今ではとんとその旧跡とでも申すようになりました。