Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
それとこれとを主人の眼の前で列べてみると、一足の草履がたしかに揃った。
「その片足がお定の家にあったんですか」と、与七は眼をみはった。
「わけはあとで話す」と、半七は笑った。「それよりも先にお定に用がある。そこらにいるなら、早く呼んでくれ」
「今しがたお客があったので、二階へ行っている筈ですが……」
なんだか煙にまかれたような顔をして、与七はあたふたと出て行った。迂闊に口を出すわけにも行かないので、主人夫婦は唖のように黙っていた。お駒が形見の草履を前にして深い沈黙がしばらく続いた。
「親分。お定は見えませんよ。二階じゅうをさがしても何処にもいないんです」
与七が声をひそめて訴えて来ると、半七は持っていた煙管を思わず投げ出した。
「畜生、素捷い奴だ。よもや家へ帰りゃあしめえが、まあ念のために行ってみよう」
かれは急いで伊勢屋を出て、ふたたび酒屋の裏をたずねると、お定はさっきから一度も姿を見せないとのことであった。半七は更にあるじの婆さんにむかって、このごろお定がどこへか出たことがあるか、また彼女をたずねて来た者があるかと詮議すると、お定は毎月一度ずつ千住の方へ寺参りにゆくほかには滅多に何処へも出かけたことはないらしい、訪ねて来る人も殆ど無い。