Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
たった一度、今から一と月ほど前にお店者らしい四十格好の男がたずねて来て、お定を門口へ呼び出して何かしばらく立ち話をした上で、ふたりが一緒に連れ立って出て行ったことがあると、婆さんは正直に話した。半七はその男の人相や風俗をくわしく訊いて別れた。
宿の入口の小料理屋へはいって、半七は夕飯を食った。それから源助町の方角へ足を向けるころには、雨ももう歇んでいた。尻を端折って番傘をさげて、半七は暗い往来をたどってゆくと、神明前の大通りで足駄の鼻緒をふみ切った。舌打ちをしながら見まわすと、五、六軒さきに大岩という駕籠屋の行燈がぼんやりと点っていた。ふだんから顔馴染であるので、かれは片足を曳き摺りながらはいった。
「やあ。親分。いい塩梅にあがりそうですね」と、店口で草履の緒を結んでいる若い男が挨拶した。「どうしなすった。鼻緒が切れましたかえ」
「とんだ孫右衛門よ」と、半七は笑った。「すべって転ばねえのがお仕合わせだ。なんでもいいから、切れっ端か麻をすこしくんねえか」
「あい、ようがす」
店の炉のまわりに胡坐をかいていた若い者が奥へはいって麻緒を持って来ると、半七は框に腰をおろした。