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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

火事場の混雑はこの猛獣の出現のために、更に一層の恐怖と混雑とを加えた。

「あぶねえ、あぶねえ」と、半七は誰に注意するともなしに思わず叫んだ。

「あぶねえ、あぶねえ。熊だ、熊だ」と、松吉も一緒にわめいた。

「熊だ、熊だ」と、大勢も逃げながら叫んだ。

丁度そのときに十七八の若い娘が下女らしい女に手をひかれながら、混雑のなかをくぐりぬけて来て、どううろたえたか恰もかの熊のゆく先へ迷って出たので、怒れる熊は人のように突っ立ちあがって、邪魔になる其の娘を引っ掴もうとした。その危うい一刹那に、ひとりの若い男が横合いから転がるように飛び出して来て、いきなり熊の胴腹へ組み付いた。かれは幾らかの心得があるとみえて、自分の頭を熊の月の輪あたりにしっかり押し付けて、両手で熊の前足を掴んでしまった。しかも熊の強い力で振り飛ばされては堪まらない。かれは大地に手ひどく叩き付けられた。

それは実に一瞬間の出来事であったが、かれが身を楯にして熊をさえぎっているひまに、娘も下女も危難を逃がれた。そればかりでなく、熊は何者かに真っ向を斬られた。つづいてその急所という月の輪を斬られた。それは二人の武士の仕業で、いずれも刀を抜きひらめかしていた。