Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
形のないもので、もっと早いものがあるはずなんだがねえ」
「あ、そうか。風でしょう。暴風は汽車より早いんでしょう」
「うん、暴風も早いだろうね。だが、まだほかにあるよ。風は木の葉を吹き飛ばしたりするので、目に見えるといえば見えるが、もっと全く見えないものがあるんだ」
一太郎君は、しばらくだまりこんで、あるいていましたが、いくら考えてもわかりません。
「そんなものがあるんですか。へんだなあ。僕、どうしても思い出せないんです」
「そうか。それじゃ教えてあげよう。それはね、音なんだよ」
「え、音ですって?」
「うん、耳にきこえるいろいろな物音だよ。こうして話してる僕の声も、やっぱり音の一つだね」
「あ、そうか。音は空気を伝わって、耳の鼓膜にひびくのですね。その空気を伝わる早さが、汽車よりも早いのですね」
「そうだよ。思い出したかい。音の早さがどのくらいか、先生に教わったことがあるんだろう」
「え、教わったんです。でも、僕、忘れちゃった」
「音の早さは、一秒間に三百四十メートル。もっとも、これは空気の温度が摂氏十五度の時の早さで、それよりも熱くなれば、音の伝わり方はもっと早くなり、寒くなれば、おそくなるんだよ。