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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょくぶつき

植物記

牧野 富太郎

Lesen Sie 植物記 (しょくぶつき) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 165.848 Zeichen · 327 Bildschirme

Aozora Bunko

松の翠は単だ色ばかりが佳いのではなく、その樹の姿がこの上もなく勢があって、その枝は四方に張り、その幹は天半に聳え立って亀ッ甲の皮を甲い、その状が最も強健勇壮です。すなわちこの幹とこの枝とがありてこそ、その翠の色がとても引き立って見ゆるのです。

巨大な松を眼前に見上ぐる時、まず我が胸を打つものはその幹の男らしい処、次はその彼の四方に広がりて勢よく肘を張り肘を屈めし処、次は高く風を受けてもただ琴の音に通うといわるるいわゆる松風すなわちいわゆる松籟があるばかりで毫も動ぜぬその枝葉です。すなわち毅然たるその姿は何んとはなしに崇高な気に打たれるのです。

松をまた人間に当て嵌めるならば車の矢の様に四方に出る枝は睦まじい一家の団欒にも比する事が出来ますし、また釵の股をなした葉は何時も離れず連れ添うて居り、俚謡にも「枯れて落ちても二人づれ」とあるようにこれを友白髪まで偕に老ゆる一の夫婦、それは人間の最も意義深くかつ最も大切なこの夫婦に比べる事が出来ます。そしてこの和協同心の夫婦が何万となく相倚って雲の様な松の翠を組み立って居るとすれば、松の茂みはこれを四海に浪立たぬ平穏無事な一国に喩える事も出来てその芽出度い事限りもありません。