Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lesen Sie 植物記 (しょくぶつき) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 165.848 Zeichen · 327 Bildschirme
彼岸ザクラ
彼岸ザクラ
普通のサクラに先駆け春の彼岸頃に逸早く花の咲くサクラに、彼岸ザクラと呼ばるるもののある事は誰れでもよく知っていて、その花を持て囃すのである。世間一般普通の人々にはそれでよいので、その間に兎や角う言うような問題は何んにも彼等の間には起っていない。
ところがこの彼岸ザクラが一朝学者仲間での問題となると、普通の素人が考えているようにそう簡単には片付かないので、その間やや混雑の状を呈して来るのである。
学者仲間、殊に植物学者仲間に於ては従来彼岸ザクラの名があえて正しく呼ばれていないのである。それには一つの原因があって、畢竟それは彼等学者に彼岸ザクラ正品の認識が不足しているからである。近代の植物学者が大抵東京帝国大学育ちであり、一方東京での彼岸ザクラは彼の上野公園に在る大木性のものをそう呼んでいるので、右等の人々は彼岸ザクラといえば右の木より外には無く彼岸ザクラはただこの木一種とのみ信じきり、それが遂に一の通念となっているのである。それゆえ明治時代の学者田中芳男氏、小野職※氏などでもやはり右のサクラを彼岸ザクラと記し(両氏同撰『有用植物図説』参照)、また今日東京で出版せる大学出諸植物学者の著せる植物学教科書などを覘いて見ても、皆右の品が彼岸ザクラとなっている。