Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lesen Sie 植物記 (しょくぶつき) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 165.848 Zeichen · 327 Bildschirme
種子の散布工作
閉鎖花とは名の如く閉鎖した花で一向に色のある普通の花弁を出さない。そして何時の間にそれが出たか素人には一向に目に着かない。何時とはなしに続々と出てこれが盛んに強力な種子を拵えるのである。
スミレのこの閉鎖花は普通の花と同様にやはり花茎があるが、一般にそれが短くて通常葉の下に隠れて居り、葉もまたこの時分には春の者よりはズット大きく成っている。この閉鎖花は春から夏秋と続いて出る。これには萼はあるが花弁が不発育で雄蕊も僅かな数しか無くその中央に子房があり柱頭を有する。花が咲いたとしても始終閉じていて丸で嫩い蕾を見る様である。そして実が熟する時は花茎が長くなって葉の上に露われる事が多いが、また絶えず葉に隠れて地面近くに出来る者もある。
種子の散布工作
実は小さく円い者もあれど通常は橢円形の者が多い。熟すると三つの殻片に裂けて開き中の種子を飛散さすのである。そしてそれを我が株の周囲四方へ飛ばすのは広い地面へ新しい苗を生やささんがためである。またその上にその種子には肥厚せる肉阜が附きこの肉阜は後ち容易に種子から離れる様に成っている。この種子が地面へ散り落ちた後蟻に見付かれば忽ちその巣まで運ばれてその膨らんだ肉阜が食物とせられ、種子をば地面に放棄するのでそこにもまた新苗が萌出するのである。