Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
お前の話がほんとうだとわかった時に出すことにしよう。ともかくここにこれだけある」
とふところに持ち合せていた三千ペセタだけをホセの前に並べてくれた。
そして一万五千ペセタが三千ペセタになって気抜けのしたようなこの初心な恐喝犯人を適当に追っ払ってしまったのであったが、三千ペセタでも、貰わないよりは貰った方がましだと考えたものか、大した凄文句も切り出し得ずにコソコソと退散して行くこの男の後ろ姿を、蒼茫と暮れてゆく夕の町の建物の遥か下の方に眺めながら、苦虫を噛み潰したような顔で葉巻を燻らせていた私が心の中で考えていたことは、もちろんホセの話がほんとうか嘘かを思案していたわけなぞでは毛頭もなかった。そんなことなぞは頭から信じもしなかったが、こんな下らぬ奴から下らぬ話を聞かされるというのも、結局は妻と私の間がピッタリせぬからこそ起ってくるのだと思うと、それがただ譬えようもなく苛立たしくて腹立たしくてならなかったのであった。
そしてお前のお陰であんな下らぬ奴らから、こんな下らぬ話まで聞かされたではないかということを、柔わりと妻に言ってやらなければならないが、あの冷たい権高い妻にどういう風に言ったらとっくりと飲み込めるように話せるものだろうかと、それをまことに、苦手に思わずにはいられなかったのであった。